視線に情欲を滲ませてる
横顔の特に美しい人だと思う。
筋の通った鼻だとか、薄く色づいた形の良い唇だとか、顎から首にかけての線だとか
まるで一つの造形品か何かを見ているような心地にさせるから不思議である。
真田は、賽銭箱の前に立ち、熱心に手を合わせている彼を横目でちらりと一瞥し
その目が固く閉じられていることを確認したところで、早々に視線を逸らした。
勘の鋭い彼のこと、これ以上不躾な視線を送ろうものならば気づかれてしまうはずだ。
背筋を正し、横に並ぶ彼と同じように手を合わせながら
新年早々神の前で煩悩を一つさらけ出してしまった己を恥じた。
出来ることなら、今すぐ彼を掻き抱いて、その喉元に噛みついてしまいたい。
瞼を閉じれば、最中の彼の荒い息遣いや、しなやかな体躯がまざまざと思い浮かんで来て
気を抜くと下肢のあたりに熱をはらんでしまいかねなかった。
真田はその場で大きく深呼吸をした。煩悩退散。
参拝を終え帰路についた際、あんなに熱心に何を祈っていたんだと彼に笑って問われたが
それとなくはぐらかすのにこれほど苦労を強いられることはなかった。
※タイトル※
はだし様(http://nobara.chu.jp/sss/index.html)