さみしさの感染

彼は、何かにつけて触れたがる。
手を握る。見つめ合う。そして抱きしめられる。きつく、きつく。
何かあったのと尋ねても、そうではないと答える。
仕方ないので、彼の背中に手をまわし
一つにまとめられた髪も一緒くたに撫でまわした。
よしよし、いいこ。さみしくないよ。

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清らかなうそ

俺は佐助のことすきだよ
うそでしょ
うそじゃないよ、すきだよ
じゃあ、冗談だ
冗談でもないよ、すきだよ
…信じられないよ
信じてよ、すきだよ
俺は、別になんとも思ってないから
うそだね
ほんとだって、すきじゃない
そんな訳ないよ
そんな訳あるよ
ない
ある、すきじゃないってば
どうして
どうしてって
どうして、きらいって言わないの

きらいなんかじゃないんでしょ
ちが、
ちがわない
でも、
でもじゃない。佐助も、俺のこと、すきだよね
(有無を言わせないとは、このことだ)

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莫迦の申すこと(上のつづき)

ややあって、ようやく彼が口を開いた。
と、思ったら、一言も発することなく再び閉じられてしまう。
ああ、もう、じれったい!
これ以上はらちがあかない。そう思って、堪らず彼に詰め寄った。
俺のこと、すきだよね
答えるかわりに、彼はそっと、両の眼のまぶたを閉じた。

 

 

 

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