隣人に光が差す時

扉を開けた途端、ぱんぱん、と乾いた音が鳴り響き、目の前を様々な色が飛んだ。
それが鮮やかな紙吹雪だとようやっと気づいた政宗が瞬きを繰り返すのを見て
皆は満足そうに顔を見合わせた。誰かが、せーの、と合いの手をかける。

誕生日、おめでとう!

思わぬことにいよいよ呆ける政宗をよそに、次から次へとプレゼントが渡されて行き
あっという間に彼の腕はいっぱいになる。
きちんと持っていないと手から落っこちてしまいそうになるのを辛うじて踏ん張って
政宗は自分を取り囲む者たちにぽつりと呟いた。

ありがとう。

その顔には、政宗が本当に嬉しい時にしか見せない
下手くそな笑みが浮かんでいた。

その後は、もう飲めや歌えやの大騒ぎだった。
慶次と元親が景気づけに一曲歌を披露したかと思えば
なぜかそれに合わせて真田がめちゃくちゃにマラカスを鳴らしたので
政宗も皆も途中から腹が捩れるくらいに笑った。

佐助はそんな中でもてきぱきと注文を取ったり
こっそり持ち込んだケーキを紙皿に取り分けたりしていたので
(ちなみにこのケーキは小十郎が用意して慶次達に持たせたもので
恥ずかしがる政宗などお構いなしに、全員で誕生日の歌を大合唱した上
火のついたロウソクもしっかり彼に吹き消させた。
この時撮った写真は、後日小十郎の手に渡ったのは言うまでもない。)
見かねた家康がお主も一曲歌えと彼の背中を思いっきり押し出した。
今日は特別だからね!とマイクを握った佐助に大きな歓声が上がった。

 

手作りケーキに、プレゼント。
自分を取り囲むたくさんの人たち。おめでとうの言葉。
あの頃の自分に届くのならば、政宗は声を大にして言いたかった。
俺は今、とてもしあわせだと。