おしつけ愛
こうすると政宗殿は悦ぶのだと
幸村は佐助の胸の突起を口に含んで舌で転がした。
もう片方は指先でねっとりと愛撫され
それだけでもう意識が吹き飛びそうになる。
胸のあたりで上下する幸村の栗色の髪を引っ掴んで
やめろと懇願するのだが彼は全く聞き耳を持たず
逆に上目遣いでお前は気持ちよくないのかと尋ねて来る。
その口元は笑っているが目は決してそうではない。
自分が少しでも感じているようなそぶりを見せれば
彼はきっと絶望するのだ。
誰にも、主にさえも靡かない戦忍。
そんなもの幻想だ。勝手に理想を押し付けるのも大概にして欲しい。
耳元で名前を甘く囁かれてびくりと反応する自分に
佐助は半分泣きそうにながら必死で声を押し殺した。
奥州への道が閉ざされる冬の間
幸村は思い出したように佐助を寝屋に呼び寄せ、抱いた。
戯れが過ぎると初めは大いに抵抗した佐助だったが
幸村はそうではないと繰り返した。
本気ならばなお悪いといよいよ激しく抵抗した佐助を
幸村は力任せに押さえつけてそのまま最後まで致した。
事果てて、肩で息をする佐助を緩く抱きしめた幸村は
お前が愛しいと独り言のように呟いたので
佐助は耳を塞いでしまいたい気分になった。
あの冬の日の夜から、もう2年ほど経とうとしていた。