小話詰め合わせ/その2
無題(べんまるとさすけ)
彼はいやだいやだと頭(こうべ)を振った。
仕方なく小さな頭を両手で掴んで無理やりこちらを向かすと
涙をいっぱい浮かべた瞳と目が合う。
ああもう、この目に弱いのだ。
佐助はため息を一つついて
彼が先ほどから握りしめて離さない
お気に入りのチョコレート菓子を半ば強引に奪い取り
ひょいと買い物かごに投げ入れた。
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甘えないひと(ぼんてんまるとこじゅ)
下を向いて歩いてはいけませぬ。
あなたはいずれ伊達の当主となられるお方ですぞ。
ほら、前を向いて。
何も怖がることなどないのです。
あなたを傷付けようとするものは
この小十郎が全て切り捨ててやりましょうぞ。
さあ、参りましょう。
差し伸べられた大きな手に指先だけで恐る恐る触れた。
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かわいいひと(だてとそかべ)
戻ってきた伊達が持っていたのは
昨日自分が購入したのと同じ紙パックのジュースだったりしたので
まさむねもそれにしたんだとか何とか尋ねてみると
昨日お前が美味いっていってから何となくなと言って
彼はすとんと自分の席に着いた。
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