小話詰め合わせ/その1
01:強がりとかそんなんじゃない(さなだて)
深い意味は無いのだが、何だか淋しそうに見えたのでと彼は笑った。
自惚れぬなと一喝し握られた手をするりと離す。熱が遠のく。
某の思い違いであれば申し訳ない。
言葉とは裏腹に離れていった手を再び繋ぎとめられる。また熱くなる。
だからいい加減にしろと無理やりほどこうとするが、敵わない。
こんの馬鹿力がと舌打ちをすると、馬鹿で結構と彼は握る手に一層力を込めた。
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02:辛抱たまらん(さなだて)
舌を噛んでしまわないように指を2、3本口の中に差し入れた。
何度も何度も力を抜くように頼み込むがまるで聞こえていないらしい。
ぎこちなく腰を動かそうとすると声にならない声で制止をかける。
けれどもこちらも、もう限界だ。
すまぬが少し我慢していて下されと言い終わらないうちに
勢いよく真田は伊達を貫いた。
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03:君とあの子は似ている(さなだとねこ)
耳の後ろを掻いてやると気持ち良さそうに目を閉じて、
足もとに頬ずりをしてくる。
前足に手を差し入れて抱きかかえるとみゃおんと鳴いた。
堪らず小さな鼻に噛みつくと、頬のあたりにパンチを喰らって驚いた。
このようなところまで似ているとは思ってもみなかったのだ。
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04:君は僕を愛しいと言うけど(さなだて)
どこが好きかと言われても返答に困る。
政宗殿は政宗殿であって、それ以上でもそれ以下でもなく、
政宗殿が政宗殿である限り例え何度生まれ変わったとしても
きっとずっとお慕い致すに違いないと思うが。
お前馬鹿か。死ね。
政宗殿、顔が真っ赤だがどうかされたか?
煩い。お前、ほんと死ね。
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05:僕を僕たらしめるものはなあに?(だて)
それは癒えることのない右の眼であり
母親からの歪んだ愛情とそれに伴う孤独であり
六つの刀であり真田幸村という一人の男でもある。
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06:まさか初めてとかそんな(さなだて)
某のことがお嫌いか?
口が裂けても否とは言えぬ自分が憎い。
それでは今一度申し上げる。
某にそなたを抱かせていただきたい。
いちいち確認しなくてもいいではないか。
心はとっくに決まっているのだから。
けれどもそんなこと、一生口にしてはやらないが。
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